紙の本。

ある著名なアニメーション作家と、本をつくるためにはじめて打ち合わせをした時のことです。

アニメーションの世界は、セルアニメーションから始まり、CG(コンピュータグラフィック)、VFX(Visual Effectsの略、視覚効果)など、コンピュータとともに技術革新が進化してきました。

「つくられた作品がハードの進化によって再生できなくなる。カセットテープやMDは聞けないし、VHSビデオは簡単に見ることができないでしょ。でも紙の本はいつでも読める、見ることができる。だから紙で残したいんだ。」

デジタル世界の第一線で活躍する人が、逆方向のアナログである紙本をこんなふうに見ているのかと衝撃でもありました。

本ができあがること。

「本をつくる」といった場合のそれは、紙本を指していると思うのです。本ができましたー電子書籍です、ではないように思うのです。

もちろん電子書籍のよいところもたくさんあります。それはまた別の機会に。

私たちが指す本とは紙本のことですと言いたいだけです。紙の質感やインクの匂い、カバーデザインへの思い、書棚に並べた時の背表紙の見え方。キリがないので一言だけ、「ほんと、いいものなんですよ」

 

本をつくること。

ユネスコでは本を「書物の一種で、書籍・雑誌などの印刷・製本された出版物」とし、ユネスコによる国際基準では、本とは「表紙はページ数に入れず、本文が少なくとも49ページ以上から成る、印刷された非定期刊行物」と定義しています。

出版物イコール書店で販売される本とか、49ページ以上のページ数とか、そういったことは一旦置いといて、何かを表現する、誰かに伝える、まとめたいものがあるなど、本をつくる動機や意味はなんだっていいと思います。

 

本をつくることのいいこと。

ある企業家の自分史を制作した時のことです。自らの記憶を記しておきたいと言われました。輝かしい業績を残した創業者ですから、それ以上深くはお聞きしませんでしたが、「会社内・次世代への伝承のため」ではないかと推察しました。

ある設計事務所では、会社の沿革と手がけた建築物を重ね合わせてアーカイブする社史を制作しました。建築とは長い期間在り続ける形のひとつです。

歴史は会社にも個人にもあり、変えられることのない軌跡です。だからこそ「残す」「記しておく」ことそのものが、本をつくることのいいことではないかと思います。

上書きできるデジタルデータとは異なり、紙本は出来上がると誤字脱字があったとしても修正することはできません。しかし、その本を手にした時、「重さ」を感じ「愛着」が湧き「つくった」実感に溢れるのではないかと思います。本をつくることはいいことだと信じています。私たちは。

 

 

 


 

当 社 実 績

書影をクリックすると sample をご覧いただけます。

虹雲の叶えた夢

友との出会いと別れ。標高3000mから4000mの世界へ。「下山したらこの体験を残さなければならない」―おわりにーより。

  • 江田靖史
  • 四六版並製本
  • 256頁

燃え尽きるまで

折込チラシに載せていた「社長のひとりごと」をまとめた。社長の飾らない言葉、表現から、会社の姿勢や歴史が垣間見られる。

  • 四下則之
  • (株式会社住まいのサポート21 代表取締役)
  • 四六版並製本
  • 220頁

帆をあげて

中村信仁氏主宰の永業塾十五周年記念誌。塾生の投稿をまとめたもの。読むと学びの歴史がわかる。学び続ける塾生にとって、他者の気づきも分かる価値のあるものになっている。

  • 永業塾十五周年記念誌
  • 四六版並製本
  • 296頁

新契縁録

岸和田から、岡山への転居をされることになった寺田一清氏へ贈る寄稿集。全国から270名の感謝を込めたメッセージが掲載されている。

  • 新契縁録編集委員会
  • A5版上製本
  • 336頁

創業者 田中藤雄

創業者の「創業の志」を一冊に残したもの。取引先業者さん、お客様など、創業者を知る様々な方のインタビューから、創業者の思いを知り会社の志を確認する一冊。

  • 株式会社三五工務店
  • A5版上製本
  • 166頁

ヤマチユナイテッド
創立60周年史


建材、住宅、リフォーム、ライフサポート、飲食、教育、不動産・保険など、多岐に渡るグループ多角化経営の歴史と足跡。

  • 山地ユナイテッド株式会社
  • A4版並製本 フルカラー
  • 44頁

北海道家庭医療学センター
20周年記念誌


家庭医療(総合診療)のアーリーアダプターである北海道家庭医療学センターの20年。日本の医療の未来を信じて走り続けた家庭医療の全てが凝縮されている。

  • 北海道家庭医療学センター
  • A4版並製本 フルカラー
  • 44頁

建築家 上遠野徹
クロニクル


DOCOMOMOJapan100選に選ばれている上遠野徹自邸の設計者上遠野徹の足跡と、上遠野建築設計事務所のアーカイブ。

  • 株式会社上遠野建築設計事務所
  • 綴寸210×210 展開寸210×2520
  • じゃばら製本 フルカラー
  • 24頁

私たちのことを少しだけ……

私たちは出版を通して、さまざまな編集制作業務を実践しています。たとえば企業のブランドムック本、社史、自分史、ビジュアルブックなどの編集制作から、読書会を社員研修として活用する事例まで、本を媒介にした領域の展開を広げています。私たちでお力になれることがあれば、ぜひお声がけください。

ここでお伝えしている「本」とは、社史や自分史、ブランドムックなどを指しており、一般流通する書籍とは異なります。

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